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何時までも今日の日を忘れない・・江ぐち@三鷹
2010/01/22(Fri)
その言葉を聞いたのは1月20日(水)の夜更けだった。
三鷹で生まれ育ったBOYから聞いた言葉。
「江ぐち今月末で閉店です・・・」。
ほろ酔いが醒めるほど驚きと衝撃に満ち溢れた短い一言。
[江ぐち@三鷹]、小説になったほどの名店中の名店。
僕が初めて伺ったのは19の頃、雑誌の記事で知ったお店だった。
翌日は予定が空かないのでOFFの金曜日に伺う事にした。

OFFの日、少し寝坊し朝起きて慌しく身支度を整え最寄り駅から電車に飛び乗る。
普段の食べ歩きならのんびり向うところだが気が逸る。
三鷹駅で降りて南口を出て足早にお店に向かう、丁度時刻はお昼前だった。
入り口から階段を下りてお店に向かう、ぐるりと回ると白地に赤く「中華そば」の暖簾が見えた。
張り紙がしてある、ぐっと唇を噛み見る。
100122・江ぐち・チャーシューワンタンメン(玉子落とし)POP
やはり聞いていた通りのお知らせだった。

空き席があるのを確認して奥の引き戸をガラガラ開けてお店に入る、丁度一番奥の席が空いていた。
先ずはOFFの日のランチ、ビールとチャーシュー皿を注文した。
100122・江ぐち・ビール
手際好くパッパと盛り付けられ最後に魔法の粉を一振りされて提供されたチャーシュー皿、久しぶりに堪能する。
丁度[小説・江ぐち]の中では[タクヤ]事、井上のおっちゃんが調理されていた。
暫く何も考え時に調理姿など見入る、元々小柄な井上のおっちゃんが何時もと代わらずに淡々と調理している。
そのロットで井上のおっちゃんとでかい兄ちゃんが調理を代わる、「ふ~っ」と一息ついた井上のおっちゃんと話しをした、座った一番奥の席の特権でもあった。
チビチビやりながら色々と話をする、「色々あってね、疲れたんだよ」と言う言葉が耳に残った。
何とも言えない気持ちだった、昨年8月に伺って以来だから久しぶりの訪問、多分閉店の知らせを聞かなかったらもっと間が空いただろう。
朴訥としながら笑顔で話してくれる井上のおっちゃんに一つだけ我がままを言った。
「井上さんが作るラーメンが食べたいです」と。
今は開店一時間ほどしか調理をしない井上のおっちゃんだが「あっそう」と短い言葉を残し「何食べるの?」と聞かれ「チャーシューワンタンメンの玉子落しを」とお願いした。
100122・江ぐち・井上のおっちゃん
先程見ていた調理姿より記憶に確りと焼き付ける如く見入る。
麺も野菜も玉子も同じ鍋で茹でる、平笊の使い方が昔から印象的だった。
見入っていると一人の方が近づいてきた、やはり閉店を知ったライダーマンさんだった。
少し話をした、何だか同士が居て嬉しい気持ちになった。
「おまちどう」の言葉と共に渡されたチャーシューワンタンメン、玉子落しは最後に入れられた。
100122・江ぐち・チャーシューワンタンメン(玉子落とし)
何とも言えないそのヴィジュアル、多分昔から何も代わっていないファンを魅了する風格すら漂うフォルム。
童子の踊る白い丼に盛られたチャーシューワンタンメン玉子落し、上にはチャーシュー・ワンタン・・長ねぎ・なると・玉子が盛り付けてある、玉子落しも鮮やかだが[江ぐち]のなるとは今まで食べた色んなラーメンの中でも一番綺麗な「の」の字だと思う。
先ずはスープを一口。
100122・江ぐち・チャーシューワンタンメン(玉子落とし)汁
ふわりと香る醤油の風味、旨味は強めだが柔らかで淡い感じもする。
豚骨や鶏がらの動物系の風味や煮干の風味も穏やかな感じで野菜の甘味もあり化調の旨味は全体を纏め上げていて嫌な感じは無い。
レトロとか懐かしいと言う言葉を使いたくないこれが[江ぐち]の味なのだと。
麺は中太のストレート麺。
100122・江ぐち・チャーシューワンタンメン(玉子落とし)麺
地粉と小麦を独自に配合して一日寝かせた自家製麺。
色黒く蕎麦の様な見た目でスープに潜らせるとさらにその印象は強くなる。
表面はややざらつく感じも柔らかな食感と独特の香りは魅了されたファンも多いはず。
悪い意味ではないが何処かしら田舎っぽくしかしながら飽きさせない独特の麺。
この麺も[江ぐち]の味だ。
具のチャーシューは醤油ダレに漬けられ焼きを入れた物。
小さく薄いが噛み締めると旨味が長く続くこれも[江ぐち]の味だ。
100122・江ぐち・チャーシューワンタンメン(玉子落とし)竹
薄味で柔らかなメンマは名脇役として好い箸休めになる。
長ねぎの香りと風味はとても好いアクセントになる。
100122・江ぐち・チャーシューワンタンメン(玉子落とし)ワンタン
滑らかな餡少なめのオールドタイプのワンタンは食べ応えがあり旨さに酔いしれてしまう。
100122・江ぐち・チャーシューワンタンメン(玉子落とし)なると
なるとは僕はラーメンに入っていると嬉しくなる。
特別好きな訳じゃないがこの白地に桃色の「の」の字は見た目の美しさ以上に心躍らせる魅力がある。
100122・江ぐち・チャーシューワンタンメン(玉子落とし)玉子
玉子落しはポーチドエッグ状態で茹で鍋にポトリと落とされ掬い上げられる。
100122・江ぐち・チャーシューワンタンメン(玉子落とし)玉割
割った黄身に麺を付けて口に運べば熱の入った濃厚な風味に独特の麺の風味が相まって玉子好きな僕は頬が緩む。
じっくりと味わうつもりだったが夢中で食べれば箸は止まらない、麺を啜り間にチャーシューやワンタンでインターバルを取りスープを丼の縁から喉に流す。
惜しいが幕閉めまでは一つ一つの[江ぐち]の味を楽しめる時間は短かった。
麺や具を食べ終わり残ったスープを丼を両手で持ちグイッと飲み干し完食した。
丼を置くと暫くは空になった丼を眺めていた。
「あ~っあっ食べ終わっちゃったんだな」と心で呟いた。
お会計をして調理を終え井上のおっちゃんに「有難うございました、ご馳走様です」と言い[でかい兄ちゃん]事橋本君に「頑張ってね」と言いお会計。
礼をして引き戸を開けてお店を出る、満足感と安堵感に何故か虚しさとが入り混じる複雑な気持ちになった、ただ一言で言えば「好かった」と言い表せる訪問でもあった。
新しいラーメン屋さんは次から次へとオープンする、ただその中で静かに幕を引くお店も多い。
昭和24年創業と僕の生まれるずーっと前から愛されていた名店、ファンにはとても寂しいものだと思う。
数えるほどしか伺っていないがこの[江ぐち]の味を知った事は僕のラーメンライフの中でも貴重な事。
「老舗は何時まで食べられるか分からない」とラーメン師匠に言われた言葉が何時も僕の中に残っている。
流行や新店等より僕にはずーっと老舗の方が気になる。
もちろん気になる新店も多い、ただ老舗巡りは僕のラーメンライフには欠かせないスパイスになっている、これからも。
100122・江ぐち・店
(10-016)
江ぐち@三鷹市下連雀
チャーシューワンタンメン玉子落し800円
2010・01・31閉店
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コメント
- じたろうさん -
お世話だなんてただ隣に座っていただけですw。

ご教授なんてとんでもない、ただのラーメンフリークとよばれた男ですから・・・。
2010/02/12 18:53  | URL | Urachan #-[ 編集] ▲ top
-  -
先日は CIQUEで お世話になりました<m(__)m>
また ご教授して ください<m(__)m>
2010/02/07 01:05  | URL | じたろう #-[ 編集] ▲ top
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